北海道から小田原へ。デザイナーだった僕が、江之浦で柑橘農家になった理由

デザイナーから農家へ

北海道で生まれ育ち、大学進学を機に上京した僕が、なぜ神奈川県・小田原の江之浦という土地で柑橘農家をやっているのか。

今日は、僕が農業を志したきっかけや、数ある果物の中から「柑橘」、そして「小田原」を選んだ理由について、少しお話ししてみたいと思います。

目次

コロナで出会ったデザイン、そして「ものづくり」の原点

大学生だった頃の僕

僕の経歴は、少しだけ変わっています。 もともと大学では英語科を専攻していたのですが、ちょうど大学生活の時期にコロナ禍が重なりました。外出もままならない中、家にこもってWebのことやデザインを独学し、気づけば大学在学中にデザイナーとして開業していました。大学卒業後もそのままデザインの仕事をつづけていました。

転機となったのは、デザインの仕事の一環として「自分で商品を企画し、デザインし、POPを作り、目の前のお客さんに提供する」という経験をしたときのことです。

僕が手がけたポスターを見て、ワクワクしながら足を止め、商品を手にとってくれる。そして実際に、美味しそうに飲んでもらい、目の前で喜んでくれる顔が見られる。

その瞬間が、たまらなく嬉しかったんです。

「自分でゼロから商品を作り、デザインし、それを直接人に届けて喜んでもらう。これが自分の好きなことだ」と気づきました。そして、僕が選んだのは「商品そのものの生産者になること」でした。当時手がけていたメニューが果物のドリンクやカクテルだったこともあり、「果物の生産者になりたい」という気持ちが芽生えたんです。

数ある果物から「レモン・柑橘」、そして「小田原」を選んだ理由

農家になると決めたとき、「どうせなら自分の好きなもの、愛情を注げるものでやろう」と思いました。そこで思い浮かんだのが、大好きな「レモン」をはじめとする柑橘類です。

レモンや柑橘の産地を調べると、広島のレモンや愛媛のみかんがヒットしました。でも、北海道出身の自分が、縁もゆかりもない遠方の地でゼロから始めるよりも、大学生活を過ごした関東圏(川崎)や、生まれ育った北海道に近い方が、まずは自分の周りの大切な人たちに届けやすいのではないかと考えました。

そこで、もっと近くに関西や中国地方以外の産地がないかと調べていくうちに、実は神奈川県の小田原も柑橘の産地であることを知りました。

さらに当時は、自分で果物のメディアを立ち上げ、小田原市内の色々な農家さんや、果物を扱うお店、飲食店に話を聞きに行っていました。

そこで出会った農家さんたちは、それぞれが独自のこだわりや想いを持っていて、一つひとつの作物がまるで「作品」のようでした。大変な苦労話もたくさん聞きましたが、それ以上に自分の「個性」で勝負している農家さんたちの姿が、めちゃくちゃカッコよく見えたんです。

InstagramのDMから始まった、小田原での柑橘人生

初めて農作業した時の思い出の写真

たくさんの農家さんとお話しする中で出会ったのが、江之浦にある「八木下農園」さんでした。

歴史がありながらも、非常に志が高く、常に新しいことに挑戦している姿に強く惹かれ、「この人から学びたい」と思いました。

農家になるには、地域によって異なりますが、小田原市の場合は2年間の研修を受ける必要があります。びっちりと基礎を学び、初めて畑の貸し借りや購入、販売ができるようになる仕組みです。

思い切ってInstagramのDMを送り、「勉強させてください」と連絡を入れたこと。それが、僕の柑橘人生のスタートでした。

2年の研修を経て、2026年4月に独立。そして今

兄弟で耕作放棄地を開墾中

こうして2年間の厳しい、けれど温かな研修を経て、2026年4月に独立し「内山柑橘園」を開業しました。現在、弟と一緒に数種類の柑橘やブルーベリーを育てています。

新規就農の道のりは、もちろん甘くありません。荒れた土地の開墾から始めなければいけないし、自分が育てたい柑橘の木がみんなに届けられるようになるまでには、7年や8年といった長い年月がかかります。

就農して4ヶ月。早いような、まだやっとスタートラインに立ったばかりのような不思議な感覚です。 ありがたいことに、YouTubeチャンネルも登録者2,600人を超え、たくさんの方に応援していただけていることが本当に嬉しいです。また、自分たちでお届けできる体制を整えたくてECサイトもオープンしました。

ここで、学生時代から続けてきたコーディングやデザインの知識がめちゃくちゃ役に立っています。農業とクリエイティブの相性はすごく良くて、やっていて心地がいい。

僕たちのテーマである「味も、香りも、体験も、柑橘のぜんぶで心を動かそう」。

デザインとクリエイティブ、そして農業を融合させて、まだやりたいことがたくさんあります。果物を売るだけじゃなく、実際にこの小田原・江之浦に足を運んでもらい、目の前に広がる青い海や山を見て、空気を肌で感じ、香りを嗅いでもらえるような「体験の場(直売所やカフェ)」もいつかオープンしたいと思っています。

失うものなんて何もない。だからこそ、兄弟でこれからも色々なことに挑戦し、この場所から僕たちらしい表現をしていきたいと思います。

日々の農作業やリアルな挑戦の様子は、これからも発信していくので、ぜひ楽しみにしていてください!

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